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イチロー・大谷翔平・菊池雄星から学ぶ『目標設定』のポイント

イチロー・大谷翔平・菊池雄星から学ぶ『目標設定』のポイント

スポーツの世界で偉大な功績を残す多くの日本人選手には、幼いころから明確な目標を持ち、目標を達成するための行動を愚直にやり続けてきた、という共通点があります。

・明確な目標というけれど、『明確』とはどのようなことなのか?
・具体的な行動の『具体的』とは、どこまで落とし込むものなのか?

彼らの目標設定と目標達成のための行動計画は、これらの疑問を解消してくれます。
そして、私たちの業務や自身の能力開発における目標設定の参考になるものです。
今回は3人のプロ野球選手の例をご紹介します。

イチロー

シアトル・マリナーズを始めMLBで通算28シーズンをプレーし、MLBシーズン最多安打記録保持者(262安打)であり、2025年米野球殿堂入りの資格を得て候補者となるイチロー氏。
イチロー氏が小学校6年生の時に書いた「僕の夢」という作文があります。
その作文の中にはこのようなことが書かれています。

 

『僕の夢は一流のプロ野球選手になることです。』
『3年生の時から今までは365日中360日は激しい練習をやっています。』
『必ずプロ野球選手になれると思っています。そして、その球団は中日ドラゴンズか西武ライオンズです。ドラフト入団で契約金は一億円が目標です。』
『僕が一流の選手になって試合に出られるようになったら、お世話になった人に招待券を配って応援してもらうのも夢の一つです。』

※『新編イチロー物語』 著者:佐藤健 出版社:中央公論新社より引用

イチロー氏は小学校6年生の時点で「一流のプロ野球選手になる」と目標を定めていました。プロ野球選手ではなく「一流の」と、既に一段上の選手を目指していたのです。

更に、365日中360日激しい練習内容をこなしていることで「これだけやれば目標が叶わないわけがない」と本人が納得できる最大限の努力をしていた様子も伺えます。

進路指導時には「体が細いからプロ野球選手は無理だ」と周りに言われていたと言います。それでも継続し続けられたのは「絶対成し遂げたい」と思える明確な目標があったからだということが推測できます。

また、イチロー氏は、近年、SMBC日興証券「教えてイチロー先生」の中で、「夢や目標が定まっていないまま進路を決めても良いのか?」という子供からの質問に対し次のように答えています。

「一生懸命生きているとそれ(夢や目標)が見えてくると思う。いろんな体験をすることでしか見えてこない気がする。」

目標を持ち邁進することも重要であるものの、もしも明確な目標が持てないのであれば、まずは失敗を恐れず目の前のことに一生懸命に取り組むことが重要だというメッセージと捉えられます。

これは、子供たちだけでなく、私たち大人にも言えることでしょう。

「誰かに迷惑をかけるかもしれない」「怒られたくない」そんな気持ちがチャレンジ精神を奪ってしまっているのであれば、チャレンジしないことのデメリットを考えてみるとよいかもしれません。

大谷翔平

大リーグ史上初となる満票で2度目のMVPを獲得し、ドジャースへの移籍が決まった大谷翔平選手(2023年12月現在)。契約金の7億ドルのうち97%を占める6億8000万ドルを後払いにする提案を大谷選手側から行ったことで、賛否両論あるものの、大谷選手の勝利に対する執念とチームを優先する姿勢に注目が集まっています。

そんな大谷選手が花巻東高校時代に作成した目標達成シート(マンダラチャート)は、現在の大谷選手の原点のように感じられます。

※「マンダラチャート」は一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標です。 

マンダラチャートとは81マスを使った目標設定シートです。
中央に位置する3×3マスが主となり、周辺の3×3に広がっていきます。
中央の3×3の中心に「目標」を、目標を取り囲むように目標達成のための要因を記載していくのですが、大谷選手は17歳の時に既に「ドラ1 8球団(ドラフト1位で8球団から指名)」と目標を定めていました。

※ PRESIDENT online 2018/09/26 『大谷翔平の「目標」にダメ出しする理由』より引用
全体をご覧になりたい方はこちらよりご覧ください。

注目すべきは「人間性」や「運」という言葉が見受けられる点です。
ドジャースへの移籍決定後に、元所属先のエンジェルスから公式発表された大谷選手への感謝のメッセージは、彼が目指した「人間性」を体現しているからこそのメッセージではないでしょうか。

また、当時から160Km/hの投球と記載していた大谷選手ですが、実は当初は150Km/hと書いていたいのだとか。佐々木監督のアドバイスにより160Km/hに修正したものの、周囲から出来ないと言われたことについて「出来ないと決めつけられるのが嫌でした。(中略)最後に160キロを投げられたのは自信になったと思います。」と著書の中で答えています。
(『不可能を可能にする大谷翔平120の思考』著者:大谷翔平 出版社:ぴあ株式会社)

最初から出来ないと決めつけてやらないのではなく、出来るようにするために何をすべきなのかを考えて行動に移すことで目標を達成させていく。そして、その過程で行った行動が自信へと変わり、次の目標に向けた活動の原動力になっていくのだと思います。

菊池雄星

大谷翔平選手が石巻東高校へ入学するきっかけとなった菊池雄星選手もまた、石巻東高校時代に佐々木監督の指導のもとマンダラチャートを作成しています。

そして、プロ入り後はマンダラチャートを応用させて「絶好調」と「絶不調」を①生活②技術③コミュニケーション④感情⑤セルフトーク⑥リラックス⑦コンデショントレーニング⑧振る舞いの8つの要素で自身を分析しメンタルトレーニングに役立てていたと著書に書かれています。(『メジャーをかなえた 雄星ノート』著者:菊池雄星 出版社:文藝春秋)

また同書の中で、プロ入り後再びメジャーリーグを目指す中で「雄星ノート」と呼ぶ日記に「メジャーまであと〇〇日」と期日を記載するとともに

・その日の感想
・メジャーへ近づけた1日だったか?
・今日をもう一度やり直せるとしたら何をするか?何をしないか?
と、振り返りを記載していたそうです。

目標を具現化するためのポイント

ご紹介させていただいたイチロー氏、大谷翔平選手、菊池雄星選手に共通して言えることは、具体的なイメージが湧く目標であること、そして目標達成のための行動が明確であることです。

ヒトの脳は実体験と疑似体験を区別できないと言われています。

例えば、目の前にとても酸っぱそうな梅干しがあると想像してみてください。完全にイメージ出来たら、その空想の梅干しを口の中に入れてみてください。どうでしょうか、身体的な反応が出たのではないでしょうか?実際に食べていなくても脳から信号が送られるために身体反応が出るのです。

鮮明なイメージが出来るほど明確な目標を描くと、ヒトの脳はそれを具現化させようとします。

年始・誕生日・期首・半期など様々な節目で目標を設定する機会があると思います。ぜひ、彼らの具体的な目標設定の例を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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