よく強情な人を指して「あの人は頭がかたい」などという言い方をします。カチコチにかたまった石頭でも、実際の脳は柔軟な「プラスチック」なのです。…はて、どういう意味なのでしょう。 今回は、私たちの脳がどんな仕組みでどうやって記憶を行っているのか、意外と知られていない記憶の構造についてお話します。
脳=プラスチックであるとは?
「脳はプラスチック」という言葉に「?」と首を傾げた方も多いのではないでしょうか。もちろん人間の脳が合成樹脂と同じ素材でできているなんてことはありません。 ここでいうプラスチックは「可塑性」のことを指しています。日本ではプラスチックという言葉を聞くと硬い合成樹脂製品などをイメージしますが、本来プラスチックというのは「何者にでもなれる柔軟さ」を意味する言葉なのです。
記憶のカタチ
脳の持つ柔軟(プラスチック)な性質は我々の記憶と密接に関わっています。ところで皆さん、記憶がどのようなカタチをしているかご存知ですか?レコードが溝で記録をするように、メモリが磁気のパターンでデータを留めるように、私たちも、記憶をカタチとして脳の中に収納しています。 脳とは一千億を超えるとされる神経細胞(ニューロン)の集合体です。人は記憶をする時、このニューロン同士を複雑にパズルのように繋ぎ合わせて記憶というカタチを作るのです。では実際に記憶をする時、ニューロンはどのように動くのでしょう。
にゅるにゅる…しゅるしゅる…うごめく脳細胞
脳は印象深かったり、感情の動くできごとをキャッチするとニューロンからスパインと呼ばれるトゲのようなモノをにゅるにゅると伸ばします。ニューロン同士がスパインをにゅるにゅると伸ばしくっつくと、記憶のピースとも呼べる神経細胞の繋がりができていきます。 ちなみに聴きなじみのある「シナプス」は、このニューロン同士がスパインをくっつけて作った橋のことです。できあがった記憶が不要になると、ニューロンは伸ばしていたスパインをしゅるしゅると引っ込めます。すると網のようにシナプスで繋がったニューロンがほどけ、記憶は忘れられた状態になります。 この「にゅるにゅる」と「しゅるしゅる」は、私たちが何かを覚えようとしたり、何かを感じるたびに当たり前のように起こっています。脳の中で細胞が触手を伸ばしたり引っ込めたりしていると思うと、なんだかちょっと不思議な感じがしますね。 どんなに頭がかたい人でも、記憶をする時には脳細胞が柔らかく触手を伸ばして脳内に記憶を形作ります。「印象深く感じたこと」や「感情を動かされたできごと」は優先順位を高く設定して、スパインを伸ばすということです。 ホロスブレインズでは、脳の仕組みにのっとり適切にコントロールするための「脳のトリセツ」をお伝えする記憶術セミナーを実施しています。あなたもニューロンネットワークを自在に作る記憶の方法を学びませんか?