電車の座席にボーッと座っていたら、気がつけば降車駅に到着したアナウンスが。慌てて降りてから「あっ、傘を置き忘れた!」なんて経験はありませんか?JR発表の「忘れ物白書」ランキングによれば、電車内の忘れ物でダントツに多いのが傘なのです。
傘を持って降りようと思ってたのに…なぜしょっちゅうこんな忘れ物をしてしまうのでしょう?「展望的記憶」をキーワードに、人の記憶の仕組みと不思議さをご紹介しましょう。
「~するつもり」の展望的記憶
電車に乗って傘を手すりにかけた時、「電車から降りる前に傘を取ろう」と考えますよね。これを「予定された記憶=展望的記憶」と言います。でも、電車の乗車時間が長くなれば、その間ずっと傘を手に取ることを意識し続けることは難しくなります。
「~するつもり」の展望的記憶が頭の中からこぼれおちると、傘を持たずに電車から降りてしまうような「忘れ物」が発生するということになります。
傘の置き忘れは、傘の存在を「忘れたから」というよりも、「展望的記憶」を思い出し損なったから起きてしまった事態なのです。
展望的記憶の種類と対をなす回想記憶
〇時になったら会社に行かなければいけない、これは時間に対しての展望的記憶。△△さんにあったらこの話をしなければいけない、これは事象に対しての展望的記憶です。
どちらも日常に欠かせない記憶であり、展望的記憶の思い出しの失敗は周囲とのトラブルや自信の喪失につながってしまいます。予定をうっかり忘れる事態は、極力避けたいですよね。
また、展望的記憶と対をなす概念として回想記憶があります。これは昔の事や自らの知識を思い出すという記憶の想起のことです。
展望的記憶のエイジングパラドックス
高齢者は記憶力が低下する、といわれています。高齢になると脳の神経同士の繋がり(シナプス)の数が減少してしまい、学習したことが脳に定着しづらくなるのです。では年を取れば物忘れが酷くなる一方なのか?といえばそうでもありません。展望的記憶についての興味深い実験の結果が発表されています。
高齢者と若者の展望的記憶の成功・失敗の確率をデータ化する研究によれば、両者には成績の傾向に違いがあったそうです。実験室の内部でテストとして記録を行った場合、若者の方がより優れたスコアでしたが、実際の生活に近いシチュエーションで測定を行った場合、むしろ高齢者の方が展望的記憶のスコアが高いという結果が出たのです。
決まった時間の投薬や通院など、高齢者の方が習慣付けが多いこと、自分の記憶力の低下への自覚、展望的記憶を行ってきた年月や経験が長いことなどが理由なのではないか、と考えられています。つまり、普段から意識して脳を使うことで、年を経ても若者以上の記憶力を発揮するのもまんざら夢ではないということです。亀の甲より年の功、というやつですね。
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参考)高齢者の展望的記憶に関連する要因と今後の展望的記憶研究の展望
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/23411/16_5.pdf