ビジネス、受験、家庭生活…人生のどんな場面においても「記憶力が重要である」というお話を再三させて頂いてきました。そうです。さまざまなことが上手く回っていく鍵は「記憶力」なのです。 覚えたいことを自由自在に覚えられたら、どんなに良いでしょうか。でもなかなかそうはいきません。今回は、記憶はどのようにして作られるのか、その情報処理のメカニズムについてお話いたします。
忘れられない記憶とは?
誰にでも、いつまでも忘れられない記憶というものがあると思います。どうして、「忘れられない記憶」と「すぐに忘れてしまう記憶」とがあるのでしょうか? 例えば、幼いころに自転車で派手に転んで、怪我をした記憶。誰にでもあるような経験ですが、何十年も経っているのに、痛かったり恥ずかしかったりした感覚は結構リアルに覚えていますよね。 他にも、5年前に北海道に行った時に食べたいくら丼が美味しかったことが忘れられない!なんていう、記憶もあるかもしれません。きっと、思い出すとその味が瞬時に頭によみがえるのではないでしょうか? 一方で、「忘れちゃいけない」と思った買い物のリストや、子供の参観日の日程などをうっかり忘れてしまう事もしばしばだと思います。 また、同じ体験をした家族に、「どうしてあんな大事件覚えてないの?私は忘れられないのに」と言われることもあるのではないでしょうか。夫婦喧嘩の原因になりそうです。こんなジレンマの原因はすべて脳の情報処理のメカニズムによるものです。
扁桃体が震えることが大切
「忘れられない記憶」の共通点は、五感に訴えるインパクトのある出来事だという事です。「痛い」「怖い」「寒い」などのネガティブなインパクトもありますし「美味しい」「楽しい」「美しい」などのポジティブなインパクトもあります。これらの強いインパクトがあれば忘れにくい記憶になるのです。 具体的にどのようなメカニズムかというと、五感に訴える経験により、脳の「扁桃体」が刺激を受け震えます。「扁桃体」が震えると「記憶するか、記憶しないか」を判断している「海馬」が「これはぜひとも記憶しなければ」と判断するのです。 同じ出来事を、忘れられない人と忘れてしまう人がいるのは、片方の人にとっては、五感を刺激するインパクトある経験だったのに、もうひとりの人にとっては、あまりインパクトのない経験で扁桃体が震えなかったということなのです。 「買い物リスト」や「参観日の日程」のように、数字や単語などには扁桃体は刺激を受けにくいので、忘れがちになってしまうのは仕方のない事かもしれませんね。
扁桃体を震わせる人になろう
つまり!忘れられない記憶を増やすには、扁桃体を震わせやすくなればよいのです。そのためには、何事においても「当たり前」という捉え方ではなく、「なぜだろう?」と探求心をもって「小さな変化」に目を向けてみましょう。そうすることで、今までよりも感動したり驚いたりすることが増え、感受性が豊かになります。また、今まで興味の無かったものにもまずは触れてみることが大切です。日々の業務において、自分の脳力を引き上げるために出来ることは沢山あります。日常に小さな変化を取り入れることで、数か月後には大きな変化になっています。ぜひ試してみてください。