「依存」という言葉にはマイナスなイメージを抱きがちですが、脳に備わっている「依存」機能は、実はちょっとしたポイントを抑えることで、モチベーションUPへとつなげることができます。「依存」の仕組みを理解して、うまく活用してみませんか?
キーワードは「報酬系回路」
依存性がある、というと良からぬイメージがありますよね。ドラッグやアルコールなどを摂取した時に脳が快感を覚え、クセになってやめられなくなることがあるからでしょう。 このとき、脳では報酬系回路と呼ばれる「ご褒美」を出す仕組みが反応し、ドーパミンと呼ばれる快楽物質が分泌され、新たなご褒美を得ようと同じ刺激を求めてしまいます。この「ご褒美」を得る手段が身体に有害な物質であることで問題となっていますが、報酬系回路自体は本来生物が生き延びるために必要な仕組みのひとつ。つまり、意識的に報酬系回路への刺激を発生させれば、自分にとって有益な「いい依存」=モチベーションが高い状態を生み出せるわけです。
それでは、報酬系回路はどうやって刺激したらいいのでしょうか?
もう一回やってみよう!の源、報酬系回路
「パブロフの犬」に象徴される「条件反射」という言葉、ご存知ですよね。旧ソビエト連邦の生理学者イワン・パブロフによって発見され、犬を使った実験で一躍有名になった生理現象です。 実験の内容は至ってシンプル、
① 犬に餌を与える前にベルを鳴らす。
② 犬に餌を与える。
③ ①②を繰り返す。
というものです。 最終的に、犬は①のベルを慣らしただけで、「餌が貰える!」と思ってヨダレを流すようになります。これは古典的条件づけとも呼ばれる現象で、この時犬の脳内ではベルの音を聞いた時点で報酬系回路に反応がおきています。すなわち、「ご褒美」の快感であるドーパミンが発生しているのです。
ドーパミンは仕事や勉強でも出せる
そもそも報酬系回路というのは動物が「餌にたどり着いた」「敵を倒した」といった目標を達成した時に脳に快感を与えて、再び目標を達成するモチベーションを与える、生きるための仕組みです。 人間の報酬系回路もまた「目標を達成した」「面白いと感じる出来事に遭遇した」といった状況に対し、ドーパミンを放出するようにできています。つまり、「目標を達成できた」「面白い」と感じる要素があれば、仕事や勉強などご自身が頑張りたいと思っていることでも、報酬系回路の働きによるモチベーションUPが可能となるのです。
脳の良い依存を生み出そう
では、「目標を達成した」「面白い」と感じるには、どういった工夫が必要なのでしょうか?
もし、「プロジェクトを成功させる」「第一志望の大学に合格する」という大きなゴールだけしか設定しなかった場合、報酬にたどり着くまでに報酬系回路が働かないことになります。脳はご褒美が得られないので、次へとつながるモチベーションがまったく上がりません。しかし、目標を分解して日々の活動に小さなゴールをたくさん作ったり、例えば勉強の場合であれば、教材に漫画を用いてみたりしたらどうでしょうか? 細やかなTodoリストをひとつひとつ消して「達成した!」と感じたり、「面白い! 次はどうなるんだろう?」と感じられれば、報酬系回路が刺激され、「次の目標も達成しよう」というモチベーションの高い状態が継続されます。
報酬系回路は、本来前向きな意欲を生み出すための機能なのです。「いい依存」のループを作れば、達成感でモチベーションがどんどんUPしてきます。
早速、小さな達成ポイントを決めることから始めてみませんか?
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