世界的に見ても日本人は座り過ぎ?
勤勉な国民性で知られる日本人は「デスクワーク大国」でもあります。長時間座り続ける座り過ぎな習慣が健康に悪影響を及ぼすことが分かってきました。 座り続けることの健康被害は、血流の滞りによる心臓への負担などが主なもので、一時間座り続けると、寿命が22分縮むとも言われています。 ここで注目したいのは、心臓と同じぐらい血流の影響を受けやすい大事な器官、脳です。我々が普段座りっぱなしの状態になっている時、脳にどのような影響が及んでいるのでしょうか。
脳の記憶に関する領域が縮む
科学雑誌PLOS ONEに発表された最新の研究によると、長時間座っている人は「海馬」という脳の記憶に関する領域が縮んでいるそうです。 この領域が縮んでしまうと認知能力が低下し、アルツハイマー病などの認知症のリスクも高まることが医学的に明らかになっています。運動により血流を多少良くすることは可能なものの、残念ながらそれでは座り続けることのデメリットを相殺しきれないとのことです。 UCLAの科学者たちが45から75歳までの健康な35人を対象に行ったアンケ―トとMRI検査の結果によると、日々の運動のレベルと内側側頭葉(脳の記憶を司る重要な部分)のサイズに特に関係が見られなかったのに対し、座っている時間とそのサイズは反比例していたというこわくなるような結果がわかりました。 ちなみに被験者たちは一日役3~7時間ほど座っていたとアンケートに回答しており、その中でより座っていた時間が長い人ほど、内側側頭葉が縮んでいたそうです。座る時間との因果関係は徐々に明らかになりつつあり、これだけの相関関係が示された以上、ただでさえ体に悪い座り過ぎが脳にも良くないことは間違いないでしょう。 「自分は座り過ぎなんじゃないか」と思った方は…これを機に少し椅子から立ち上がる時間を増やしてみてもいいかもしれませんね。