人の脳はとても複雑にできていて、まだまだ解明されていない部分がたくさんあります。物理的な仕組みや、脳内物質、神経はもちろんのこと記憶や心に起こる現象も例外ではありません。 今回はそんな脳に起きる不思議な現象のひとつ、「偽の記憶」についてお話します。 「偽の記憶」と聞いて皆さんは何を想像しますか?字面だけ見ると、ミステリー小説の中の記憶喪失の登場人物に埋め込まれた記憶のことかなにかに思えますよね。ですが、今回お話するのはもっとありふれた私たちにも起こりうるお話です。
行ったことのない旅行に行った記憶
「私の記憶は、実際に起こったことだけで、忘れることはよくあるけど、してもいない偽の記憶なんてあるわけない」と思うかもしれません。 しかし、幼い頃に家族で行ったと思っていた旅行に、実は行っていなかったという事はありませんか?そう、ご家族が何度もあなたの前で思い出話をしていたりすれば、実はその時はあなたは生まれていなかったのに、さも記憶が一緒に行ったかのように捏造されることがあるのです。 大人になってから「え?あなたはまだいなかった時の旅行よ?」と言われてびっくりしたり、ひょっとしたら記憶の齟齬に気付いていないまま思い出になっている可能性すらあります。 このように、人はさまざまな情報から想像力を働かせ、足りない部分を脳で補って「偽の記憶」を作ることができるのです。
DRMパラダイムとは
「偽の記憶」が作られる事実を検証する方法を「DRMパラダイム」と言います。「DRM」は実験方法を作成した研究者の名前の頭文字を取って名付けられました。 実験の第一段階では、まず参加者にいくつかの単語を覚えてもらいます。例えば「風、カーテン、光、サッシ、ドア、ガラス」。 次に、参加者に先ほど覚えた単語を思い出してもらいます。すると、高い確率で無かったはずの「窓」という単語が挙げられるのです。 最初にあげた単語は、「窓」を連想させるようなものばかりでした。そのせいで、参加者は「窓」という単語があったかのような「偽の記憶」を作ってしまうのです。 この実験方法は、脳の持つ記憶を補完する働きを示すとてもシンプルでわかりやすいものですが、人の記憶はもっと複雑なものまでも「偽の記憶」を作ることができます。時として脳は、私たちが想像もつかないような事をやってのけるのです。
商談時にお客様から聞いたと思った事柄が、実は自分が勝手に想像していたことを記憶として残していただけでお客様は言っていなかった、というようなこともあるかもしれません。
対顧客のみならず社内コミュニケーションにおいても極力このような事態は避けたいものです。
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