タイトルを見てビックリされた方も多いのではないでしょうか?「そんな話、今まで聞いたことないよ!」そう思いますよね。ですが科学的根拠がきちんとあるのです。 今回は、イギリスのケンブリッジ大学のチームが心理学誌「QJEP」に発表した衝撃の研究内容についてお話します。
肥満は健康に悪いだけじゃなかった?
ダイエットしなければいけないなぁと思いながらなかなか実行できない。わかっちゃいるのについつい食べすぎちゃう、定期的に運動ができない。そういう方、多いと思います。 肥満が健康に良くないことは周知の事実。心臓に悪い、血圧が高くなる、脂肪肝のリスクがある、糖尿病になりやすい、足腰にも良くない・・・と悪い事づくし。わかっていてもなかなかダイエットするのは大変です。 でも、この研究報告を聞いたら、思わず「今日からすぐダイエット始めます!」と言ってしまうかもしれません。「肥満と記憶力は相関性がある」というのが、イギリスのケンブリッジ大学のチームの研究報告です。
肥満の人は15%も記憶力が悪い
すでにネズミではこの研究が行われていて、胴回りの太いネズミほど学習能力が低いという研究結果は報告されていましたが、人間で実験をしたのは初めてでした。 実験は、BMI値(肥満度を示す体格指数)が18から51の男女50人(18歳から35歳)で行いました。BMI値は、18.5~24.9が標準で25以上が肥満といわれます。 参加者には2日間にわたりコンピュータゲームをやってもらいました。宝探しのようなゲームでスクリーンに次々と現れるアイテムを複雑な地形の場所に隠していき、あとでどこに隠したかを思い出すというゲームです。 これは「エピソード記憶」のテストであり、アイテムを隠す時の自分の気持ちや状況と共に隠した場所を記憶できているかどうかというものです。テストの結果、肥満の人は標準の人と比較してなんと15%も悪い結果になってしまったそうです。
カギは満腹ホルモン「レプチン」
肥満と記憶力にはいったいどんな関係があるのでしょうか?きちんとした科学的理由があるそうです。人は満腹になると「もう満腹だから食べなくていいよ」というホルモンが脳から分泌されます。それが、「レプチン」と呼ばれるホルモンです。 肥満の人はこの「レプチン」の分泌が上手くいっていないとみられます。このホルモン、驚くことに記憶力にかかわる「学習ホルモン」でもあるのです。「レプチン」を投与したネズミは迷路の実験でゴールにたどり着く成績が向上したという結果が出ています。 「満腹ホルモン」と「学習ホルモン」が同じ「レプチン」だったことで、太っている人は記憶力が悪いという現象が起きているというわけです。 これは今すぐダイエットを始めなければ!という気持ちになりますね。
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