「体内時計」という言葉を聞いたことがありますか?人間も含めた哺乳類の動物には、一日のリズムを刻む「体内時計」が存在し、脳や臓器の活動に影響を与えています。
実はこの体内時計、近年の研究で記憶とも深いかかわりがあることが明らかになりました。
体内時計と記憶の相関性に関する東京大学農学部のチームの成果をわかりやすくご紹介します。
体内時計が壊れると夕方に思い出せなくなる?
東京大学農学部が行った研究は、一日のリズムを刻む体内時計が遺伝子操作によって壊れているマウスと、正常な体内時計を持つマウスに複数のテストを行い、記憶力と体内時計の機能との関係を調べるものでした。
その結果、いずれのマウスも記憶自体はできたものの、体内時計が壊れたマウスだけ夕方に再度テストを行うと、学習させた内容を思い出すことができなくなったそうです。
この「思い出せない」現象は、改善が可能なことも突き止められています。神経伝達物質であるドーパミンの伝達を薬物注射により活性化させると、マウス達は無事学んだことを思い出せるようになりました。
「覚えられない」と「思い出せない」の違い
基本的に記憶は「覚える(記銘)」「覚えたままでいる(貯蔵)」「思い出す(想起)」の3ステップがしっかりと行われることで初めて機能します。記銘・貯蔵・想起のいずれかに障害が生じてしまった場合、記憶ができなくなってしまうのです。
体内時計が壊れたマウスに発生していたのは「思い出せない」症状、想起障害です。実は、人間にも夕方の時間帯に想起障害を起こしやすいというデータがあります。体内時計の機能不全は、この「思い出せない」症状をより悪化させることが、この研究で明らかになりました。
改善のカギは「ドーパミン」!
体内時計が壊れたマウス達に共通していた点があります。神経伝達物質であるドーパミンの伝達機能の低下です。研究チームがマウスのドーパミン伝達を薬剤注射によって促すと、マウスの想起障害が無事改善されました。
ドーパミン伝達による想起障害の改善が、加齢による「思い出せない」現象の解決に繋がる可能性を示唆しています。
記憶を改善するドーパミンの増やし方
寝不足や不規則な生活は体内時計の乱れを招き、想起障害を引き起こす可能性があります。不摂生を避けるのはもちろんですが、最近ド忘れが多いという方はドーパミンを増やすことを意識してみるといいかもしれません。
ドーパミンを増やすのには、好きな音楽を聞いたり、目標を設けたり、新しいことにチャレンジすることが効果的です。
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