記憶力がいい人、というとあなたはどんな人物を連想しますか?トランプの神経衰弱が強い、勉強や仕事を覚えるのが早い、などのイメージが浮かび上がるかもしれません。 では、子供の頃の想い出を鮮明に記憶している人や、誰もが気に留めないような事をいろいろ覚えている人はどうでしょう?言われてみれば…とは思いますが、比較のできない個人的な体験に関する記憶は「記憶力の良し悪し」のサンプルにはなりづらいものです。 実はこれら二つの記憶は同じ「記憶」であってもその質が大きく異なります。今回は「意味記憶」と「エピソード記憶」、これら2つの違いを解説しそれぞれどう役に立つのかを紹介します。
エピソード記憶
鮮明に覚えている子供の頃などの記憶は、心理学では「エピソード記憶」という分類に入ります。 エピソード記憶とは個人の体験などの記憶を指し示す言葉で、この後紹介する意味記憶とは対を成す概念です。 エピソード記憶の特徴は、記憶の中でも高度な機能を備え、最も忘れにくいとされている点です。一般的に「物心が付く前」の記憶がないのはエピソード記憶の機能を獲得する以前のことだから。これはエピソード記憶が後天的に獲得される機能であることを示しています。
意味記憶
意味記憶とは即ち知識としての記憶です。「覚えようとして覚えたこと」は全てこの意味記憶に含まれています。「記憶力がいい」という表現のほとんどは「学習能力の高さ」を取り上げて扱われることがほとんどです。意味記憶が得意な人は、物覚えがよく、さまざまな知識を仕事や生活に活かしやすいタイプの人なのです。
二つの記憶を融合させよう
知識と体験、というのはそれだけでは接点のないものになってしまいがちです。しかし、過去の成功あるいは失敗から学んだことは体験と結びつき、しっかりと定着します。この「体験と知識の結び付け」がめざすべき「意味記憶とエピソード記憶の融合」なのです。 子供の頃は基本的に意味記憶が得意であれば、「物覚えがいい(=勉強ができる)」ともてはやされたりします。ただ、エピソード記憶が足りていないと、社会に出てただの頭でっかちで行動力の無い人と後ろ指を指されかねません。 しっかりと考え学ぶことは大切ですが、行動を起こし、経験を蓄積していくことも同じくらい重要です。意味記憶を積み上げるだけではなく、新しい刺激的な体験によるエピソード記憶と一緒に蓄えていきましょう。応用力があり、人生に活かすことのできる強固な記憶を手に入れることができます。
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