(前編)三代目桂春蝶をつくってきたもの~人財育成と落語の新しい可能性~

『人財育成』×『落語』・・・・HOLOS-BRAINSは、新たな切り口で社員教育のアプローチを提案します。
「楽しい」「為になる」から一段階上がった、聴く人に内省を促す演目です。
今回提携させていただく三代目桂春蝶氏にお話を伺いました。
現在発表されている「桂春蝶の落語で伝えたい想い。」シリーズがなぜ生まれたのか、
2020年1月23日の演目「行と業~わたしは千日回峰行を生きました~」に込められた想い等を
2回にわたってお伝えします。

『人財育成』×『落語』~三代目 桂春蝶 独演会~ についてはこちらから

―お父様も二代目桂春蝶として名跡を残した落語家さんでしたが、幼少期からやはり落語家を目指されていたのでしょうか?

いえ、もともと落語家を目指していたわけではないんです。
きっかけは父の死ですね。僕が高校3年生の時、父が他界しました。
父の葬儀の際、本当に多くの方が弔問に来てくださって、皆様から様々なお言葉を頂いたんです。いろいろ聞いているうちに僕に2つの感情が芽生えたんです。
1つは何より父の偉大さ……痛いほど感じましたね。そして、もう1つは落語っていう芸はすごい芸なのではないかということ。一気に承継の念が出ました。後を追いたいという羨望の眼差しに変わりました。
それがきっかけとなって、当時ご存命だった父の師匠である三代目桂春団治一門に、19歳で入門しました。

―入門時は目指す姿などあったのですか?

その当時は、とくに明確に持っていたわけではなかったですね。
ただ、司馬遼太郎さんの言葉で「物事を作り上げるのは、努力でも才能でもなく、その人の性格である」という言葉があるんですが、性格というのは、わりと幼少期を含んで出来上がっていることが多いと思うんです。僕の幼少期はある意味特殊な環境で過ごしてきました。

―どのような幼少期だったのでしょうか?

今思うと、特殊な大人に囲まれて育ちました。
父の親友で桂枝雀師匠がいます。この方が家に来る時は、ちょっと宇宙人同士のような会話な気がしていました。
確か僕が小学生の4~5年生のころだったんですが、枝雀師匠が来た時に僕の顔を見て「大助君、あなたなんか悩み事ありませんか?」って聞くんです。いきなり悩みを聞いてくる大人って変だな、と思ったのを鮮明に記憶しています。
当時「何か悩み事を答えなければ!」と思い咄嗟に「本能寺の変を習ったんだけれど、誰も見てないのになぜ分かるんでしょうか?」と言ったんです。そうしたら、枝雀師匠が僕の手を握って泣くんです。泣きながら「あなたは私と同じ星の住民です」と言ったんです。

―ごめんなさい(笑)、どういう意味だったんですか?

分からないですよね。
僕も一瞬理解できないでいると枝雀師匠が「うわ~、今日は素晴らしい一日だ。私はこのまま今日は寝たい!だから今日は寝ます~」といって家に帰ってしまったんです。せっかく食事を用意していたのに。
そんな光景を何とも言えない表情で見ていた父が、「お前、今の枝雀見た?どう思った?ちょっと頭おかしいと思わない?」と言うんですよね。でも、続けて「だけど、おれ、あいつが何言っているか分かんねん。大体ああいうこと言うやつは長生き出来へんねん。彼が何を言わんとしているかが理解できている自分も長生き出来へんと思う。だからな、俺とお前の間に流れている時間はちょっとしかないと思うから、今のうちにいっぱい遊ぼうな。」って言ったんです。
それから10年も経たないうちに二人とも亡くなっているんです。
天才って、どこか自分の死期というものが分かっているのか、自分で決めているのか?と思うような事件でしたね。

―多くの出会いや別れは、少年だった春蝶さんにやはり大きな影響を与えたのでしょうか?

そうですね、僕は幼いころから死生観みたいなものを感じさせる大人が周りに多かったので、心の中でそういったことを感じながら毎日を過ごしていました。
芸人の中でも特に、自分の命を削って周りを明るく灯している、まるで激しく燃えるろうそくの炎のような芸人が周りに多かったと思います。うちの父親であり、枝雀師匠であり、そういう方に囲まれて過ごしてきました。
いつ死ぬかわからないという大人たちが、僕の中で「怖いな」と思うような、死生観の種のようなものが植えていった気がします。それが結果的にのちに僕が落語家となった時の表現の核となっていると思います。

―これらが今発表している死生観をテーマとした作品に繋がっているのでしょうか?

そうだと思いますね。
落語家になって一人で色々な事を表現するようになり、表現方法の成熟と共に、自分の心に蒔かれていた種が少しずつ成長してくるんです。死生観の種が。それがぱっと花開いたり鮮やかに実をつけたりしたと思った瞬間が2000年代後半にあったんです。

後半では「桂春蝶の落語で伝えたい想い。」シリーズについてお届けしていきます。お楽しみに。
(後編)三代目桂春蝶をつくってきたもの~人財育成と落語の新しい可能性~

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桂春蝶氏プロフィール

実父である二代目桂春蝶の死をきっかけに落語家になることを決意。平成6年に桂春団治に入門して春菜、平成21年8月に三代目桂春蝶を襲名。平成25年咲くやこの花賞、平成21年第4回繁昌亭爆笑賞、平成21年なにわ芸術祭審査員特別賞、平成19年なにわ芸術祭新人奨励賞受賞。落語の新境地を切り開くため伝統芸能、音楽など多彩なジャンルとのジョイントにも積極的に挑戦しています。

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